やまもとたけしさんのレビュー

ビデオのタイトル通り蓮見クレア一行がロッキー山脈に三億円のお宝を探しに行くということがテーマのAV。 構成としては前半の1.5h宝探し後半の1.5hエロシーンといった感じ。このビデオは冒頭にある通りオナニーには向かないビデオなのかもしれない。けれどもそれはAVをすぐ抜くためのカンフル剤程度にしか考えられない人にとってはなのかもしれない。子供の賢さを測る実験にマシュマロ実験というものがある。どういう実験なのかというと例えば、10分間目の前のマシュマロを我慢出来ればもう一つマシュマロが貰えるといったような実験で我慢が出来る子供は賢く将来成功を収めやすいというものだ。我々は幼い頃から親や先生、はたまた社会に同じ様なことを繰り返し強いられてきた。 『テストでいい点取ったらゲームを買ってあげる。』 『今頑張っていい大学に入ればいい未来が待っているから。』 『新人のうちにどれだけ頑張れるかだから。それが昇進に繋がって将来楽になるよ。』 我々はその度に騙されそんな言葉が信じられなくなっていった。 しかし、この作品はそんな終わりの無い”いい未来”というニンジンに騙され続けてきた我々に本物の艶やかで発色のいいニンジンをくれるものなのではないかと思う。 ゲームを買って貰えなかったあの時、いい大学に入ったったのに地獄の就活が始まったあの時、クソみたいな上司にへこへこしたって昇進のしの字すら見えない今だって蓮見クレアは常に我々に微笑んでくれる。今まで私も前述した、AVを抜くためのその一瞬だけ使えれば良いものだと考えていた人間のうちの1人だった。自分が好きなフェラと正常位、イク瞬間だけを見る為に左手で早送りしては必死に右手を動かした。しかしこの作品を観るときは是非前半の宝探しシーンも飛ばさずに観てみて欲しい。宝探しと銘打っている割に全然調べてこない監督、ただの岩を掘り返しドヤ顔する蓮見クレア、1日遅れでやってくるコーディネーター。その全てが最後の蓮見クレアの照れ笑いに繋がっている。もし、私に仲の良い彼女や妻がいたらこんな感じなのだろうかと頬に涙が伝うのを感じながらフィニッシュした。この作品はそんなレール通りの人生を送れなかった、まともに彼女も出来たことが無いようなクソ陰キャどもも”幸せな生活”を追体験することが出来るものである。 ニンジンを追いかける人生というのも案外悪くないのかもしれない。